Posts tagged "邦画"

ときめきメモリアル(’97年度実写映画版)|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★ なんとも、もったいない作品である。 原作の美少女ゲームをプレイしたことはないけれど、単純に「青春映画」として、本作はじつによく出来ている。 嵐の中、主人公の冴えない少年(もちろん童貞である)が引き返して、バイト仲間の美少女たちと海の家を守るクライマックスには、不覚にも涙腺が緩んだ。 が、原作ユーザーの心理を勝手に代弁するかのような、ロリコン丸出しの気色悪いモノローグが、ひと夏の男女の爽快な友 […]

神の左手 悪魔の右手|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 楳図かずおの有名ホラー漫画を、平成『ガメラ』3部作で知られる金子修介監督が映画化。ちなみに『ガメラ3 邪神覚醒』で主演を務めた前田愛も脇役で登場している。 当初の予定では那須博之が監督することになっていたが、撮影前に逝去してしまったため、金子監督が代わってメガホンを取ることになったという。 このような因縁による本作の主人公を、那須監督の『デビルマン』にも【ミーコ】役で登場した渋谷飛鳥が担ってい […]

案山子|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ ホラー映画マニアたちからはすこぶる評判の悪い「伊藤潤二作品実写化シリーズ」の一つ。 タイトルは『案山子』となっているけれど、実際のストーリーは『墓標の町』という作品に準拠しているらしい。 野波麻帆演じる主人公は、失踪した兄を追いかけ、トンネルの向こうにある村を訪れる。 しかし、その村は、ある少女の悪霊によって支配されていた。 その少女は、かつて主人公の兄に恋心を抱いていたが、主人公に妨害された […]

藪の中|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 黒沢映画の原作としても有名な芥川龍之介『藪の中』は、人間の記憶や主観が、いかに都合良く捻じ曲げられるかを物語る古典文学である。 とはいえ、けっきょくのところ読者の記憶にもっとも印象強く残るのは、《愛する妻を目の前でレイプされる》という、悲惨きわまりないシチュエーションではないだろうか。 だとしたら『藪の中』を「ポルノ小説」として解釈したとしてもおかしくはない。おそらくこの映画版はそんな発想から […]

ウィッチクローズ|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ ゴスロリ・ファッションに身を包んだ少女が、大きな剣を振り回して、襲い来る怪物どもを、バッタバッタとなぎ倒していく──スチールを見たかぎりでは、そんなシーンを予想した。 ところが、実際にアクションをするのは、怪物を演じるJAE(ジャパン・アクション・エンタープライズ)の皆様。 主人公のゴスロリ少女はというと……ただ突っ立ってるだけ(笑) てっきり剣劇を披露するのかと思いきや、魔法の剣が自ら光を発 […]

テック&サーチ・リミテッド|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ このインディーズ映画の主演を務めた石川佳奈は、ついぞ一般的な知名度を得ることはできなかったものの、独特な存在感のある女優で、個人的に一目置いていた。元々はグラビア・アイドルで、ブライダル・モデルとしても活動していたようだけれど、今となってはどこで何をしているのか。 石川はファンタジックなTVドラマ『LAST ALIVE』、スプラッター映画『スワンズソング』など、これまで出演してきた作品では、お […]

新・妖女伝説 セイレーン|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 《男の欲望》を喰って生きる女妖魔【セイレーン】の恐怖をエロティックに描く。90年代から続くVシネマ・シリーズの通算第5作、00年代に入ってから最初の作品である。 エロスと怪奇の組み合わせと言えば、即座に思い浮かぶのはジェス・フランコやジャン・ローランの女吸血鬼物で、ああいった耽美幻想的なムードを期待してしまう。 ところが本作の世界観は、むしろその対極にある。 メインとなるのは、ギャングたちのお […]

精霊のささやき|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ パッケージの宣伝文によると、監督の植岡喜晴は《幻想映画だけを撮り続けて来た映像作家》で、この『精霊のささやき』は、彼にとって《初の劇場用作品》なのだそうな。 そんな奇特な人がいることも知らなかったし、そんな映画があることも知らなかった。 近所の古いレンタル・ビデオ屋ではじめて目にしたのである。昨今の、即物的なスプラッター・ホラーやゾンビ物ばかりがもてはやされる風潮に、すっかり嫌気がさしていた私 […]

押切 劇場版|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ パラレル・ワールドを題材にしたSFホラーで、いちおう伊藤潤二の漫画を原作としている。読んでいないので比較できないが、少なくともこの映画版に『富江』や『うずまき』のような猟奇色はない。 一つ言えるのは、もし伊藤潤二原作という前提がなければ、こんなに古臭くて退屈な作品が世に出ることはなかっただろう、ということである。 「押切」とは、主人公の高校生の名字。もう一つの世界に住む自分が、この世界にやって […]

オルガン|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 日本のアングラ劇団「オルガンヴィトー」が自主制作したスプラッター映画。 ここでの「オルガン」とは楽器のことではなく《臓器》を意味する(ついでに「オルガンヴィトー」で《五臓六腑》となる)。 《人体破壊》をテーマにした、陰惨で救いのない物語だ。 臓器売買の現場に潜入した刑事が、犯罪グループに拉致監禁された。 主人公はその拉致された刑事の上司で、刑事の兄とともに犯罪グループを追いつめていくという、サ […]

下弦の月|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 矢沢あいの原作コミックにもL’Arc〜en〜Cielにもまったく思い入れのない私が、映画版『下弦(かげん)の月』をわざわざ劇場まで観に行ったのは、邦画にしては珍しく、耽美幻想的なビジュアルを売りにしていたからだ。ゴス・ファッションに身を包んだ栗山千明を一目見たかったというのもある。 が、その期待は、もろくも打ち砕かれた。余韻に浸りながら帰りたいと思ったため、わざわざ夜の回を選んで観 […]

玩具修理者|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★★ 小林泰三の原作小説から、猟奇的な描写の一切を削除し、幻想的なお伽話に仕上げた短編映画。 言うまでもなく、映像化作品を語る際には、原作とは「別物」として評価すべきである。原作にあったものが「ない」としても、作品として完成しているのであれば、それは「不足」にはならない。ましてや約45分という時間の制約があるのだから、原作の内容を余さず再現しようとすれば、消化不良になってしまいかねない。したがっ […]