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アップリンクから発売されている手塚眞監督『実験映画』のDVDには、映像特典として監督が過去に手がけた短編映画が収められていた。『2001』はその中の一つ。

21世紀最初の年である「2001年」の空気を、白黒写真のアニメーションで表現した作品。

ポスト・ロック調のメカニカルな音楽に乗せて、無人のビル街にたたずむ橋本麗香を映す。

手塚作品の『白痴』と『実験映画』でもヒロインを務めた橋本は、生活臭をまるで感じさせない都会の美女。映像の無機的な質感が、橋本特有のクールな雰囲気をいっそう際立たせている。

一方で、貧民のようなみすぼらしい格好をした橋本が、祈りを捧げる姿も挿入される。

文化が洗練される遥か昔、一人の貧しい女が孤独の中で夢見た世界に、今、私たちは生きているのだ。

たった5分の作品であるが、2時間半もかけていながら何を言いたいのかさっぱりわからなかった『白痴』なんかよりも、遥かに雄大なドラマを創り出している。