この映画は、予告編のナレーションがなかなかの名調子で、ずっと耳にこびりついていた。

皮膚が不気味に膨張し……!

顔面はケロイド状の肉塊と化し……!

体液がとめどなく流れだし……!

頭部が破裂するッ!!

ぞんびどろおむ!!!

原題の「OZON」とは、劇中に登場するドラッグの名称。

こいつを体内に注入すると、自分の体を思いのままに変形できるようになる。

またそれがこの上ない快楽をともなうものだから、歯止めが利かなくなってしまうと、予告編で謳われていたとおりの結果となってしまうわけだ。

そうしたオーバーな人体破壊描写や、奇形児を産み落とす女、オゾンの密売を取り仕切る「ドラッグ・マスター」のグロテスクながらユーモラスな容貌(『スター・ウォーズ』の【ジャバ・ザ・ハット】を露骨にイメージしている)など、たしかにヴィジュアル的なインパクトは大きい。

が、映像の安っぽい質感は非現実を演出するにはほど遠い。ストーリー展開がもたついている上、役者の演技もあからさまにやる気がなく、「OZON」の脅威がまるで伝わってこない。