陰陽道の基礎知識や、安部晴明にまつわる伝説を紹介するドキュメンタリー。学研の老舗オカルト雑誌『ムー』が監修し、その編集長も解説者として登場する。

ナビゲーターは、『さくや妖怪伝』を始めとして数々の怪奇映画で主演を務めた、女優の安藤希。

本作の特色として、情報の合間に、安藤をフィーチャーしたドラマが並行するという点が挙げられる。

陰陽道に関する知識を深めていく安藤が、やがて自ら安部晴明の血を引いていることを覚るという筋立て。後に安藤が主演する『陰陽師 妖魔討伐姫』シリーズとの関連はない。

だが、その演出のあざとさには失笑を禁じえない。冒頭に新聞や雑誌の記事を並べ、「陰陽師ブーム」をことさらに強調する。ところで、これらの資料は実際に発行されたものなのだろうか? そのわりには見出しが不自然で、なんか作り物っぽいのだが……。

安藤も安藤で、いちいち友達に電話をかけ、「ねぇ『陰陽師』って知ってる?」なんて唐突に尋ねたりする。やだなぁ、いくら相手が安藤希でも、いきなりこんな電話かかってきたら。

でも、そんなのは序の口だ。陰陽道を探求する安藤の前に、さも意味ありげに登場する書物が「陰陽師特集」を掲載した号の『ムー』だったりした日には、開いた口が塞がらなかった。

わざわざ凝った作りにしなくたって、たとえば『世界ふしぎ発見!』のように、安藤をレポーターに見立てて、識者にインタビューさせたり、名所を巡らせたりでもすれば、じゅうぶん見応えのある作品になったはずなのに。

やっぱりオカルト本ばかり読んでいると、こんなセンスのない作品しか作れなくなってしまうのか。