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西原亜希と上野なつひのW主演で送る、フジテレビの1時間ドラマ。

西原亜希演じる女子高生は、母親の再婚のため、田舎町に越してきた。

母の婚約者の男性、そしてその一人娘である上野なつひを交えた4人で暮らすこととなる。

上野なつひは陸上部員。かつて同じ陸上部のエースだった父に憧れ、棒高跳びの記録更新を目指す。

そんな上野のひたむきな姿に惹かれ、西原も陸上部に入る。

が、飽きっぽい性格の西原は、練習も真面目にやらない。また、上野がジャズ好きの同級生と仲良くなり始めたことから、しだいに二人の間に距離ができる。

一方、西原の母と上野の父の関係も、だんだんうまくいかなくなってきた。

二人に、別れの時が迫る――。

チグハグな印象の残る作品だ。「家庭」と「スポコン」という、異なったテーマを両立させようとしているのだけれど、両者はリンクすることなく別々に展開する。まったく関係のない二つのドラマを交互に見せられているような違和感を覚える。

ドラマの構成にも問題がある。キューブリックの『ロリータ』よろしく、なぜかいきなりストーリーのオチから幕を開けるのだ。時間軸をずらすのは最近の流行りなのだろうが、ミステリー物ならともかく、こういう単純な青春ドラマにおいて効果的とは言い難い。

とりあえず、制作者が重きを置きたがっているのは「スポコン」のようだ。

そもそもタイトルの『音のない青空』とは、精神を集中させてバーを跳び越えたときの心境を表現している。じつに詩的で、印象的な言葉だと思う。なお、上野と西原が大会でバーを飛び越えるシーンは、てっきりスタントマンを使っていると思ったが、実際は本人たちにやらせている。

が、上野が毎日一所懸命に練習してやっと飛べるようになったバーを、西原は何の苦労もせずにあっさり飛べてしまうのだ。これには興ざめである。双方のファンを満足させようとした配慮が裏目に出てしまった。

とはいえ、もう一方のテーマである「家庭」に関しては、母子家庭と父子家庭が同居することで、二人の少女が束の間の「姉妹」になるという設定が興味深い。また、彼女たちの友情と、それぞれの親の愛別を巧みにリンクさせている点も、特筆に値する。

あと、個人的に意外だったのは、上野なつひの演技だ。

テレビ東京系列の深夜ホラー・ドラマ『エコエコアザラク THE EYE』で、黒魔術師の女子高生を演じた際には、しまりのない表情と棒読み台詞に辟易とした。ところが本作では、先述の少年との淡い恋や、ベタベタと付きまとってくる西原を突き放すシーンなど、喜怒哀楽をしっかり表現できている。

まぁ、これくらいこなせて当たり前と言われればそれまでだが、少なくとも「大根役者」というマイナス・イメージは払拭された。