いわゆる「アイドル映画(ドラマ)」というものについては、素材となるアイドルさえ魅力的に描けていれば、じゅうぶん合格点をあげられる。だから「映画(ドラマ)」としては完全に破綻している『ゴーストシステム』や『グランドレス・サスピション』といった作品も、私にとっては宝物だ。出来の悪い子ほどかわいい、という人情もある。

が、それにしてもこの『D-girls アイドル探偵三姉妹物語』はどうだ。低予算は仕方ないとはいえ、オープニングで微笑む主役3人、石川佳奈、川島令美、木内晶子のショットからは、貧乏臭さしか伝わってこない。ドラマ本編を見る前からすでに萎えてしまう。

石川、川島、木内が扮する「桜樹3姉妹」は、3人とも売れないアイドル。彼女たちの父はジャーナリストをやっているが、政界の黒幕にまつわるスキャンダルを掴んだことから、消息を絶ってしまう。3姉妹は、叔父の探偵の力を借りながら、父の行方を追いかける。

アイドル3姉妹というくらいだから、てっきり芸能界の裏事情などを絡めて展開していくのかと思った。ところが、探偵となった彼女たちが解決する事件といえば、町の噂やストーカーや学校の幽霊といった、ごくありふれた内容。これなら、彼女たちが「アイドル」でなくても成立してしまう。

もっとも売れてないとはいえ仮にもアイドルで、ラジオ番組をもっているくらいだから、それなりにファンもいるのだろう。刑事事件に巻き込まれたら、ファンが心配するし、将来にも影響する。それだけに、あまり危険な仕事をやらせるわけにはいかなくなる。

結果として、どうしても地味なエピソードばかりになってしまい、ドラマとしての起伏が乏しい。全部で4枚発売されていたDVDは一枚につき3話収録で約75分だが、はっきりいって1話通して観るだけでも相当な忍耐が要求される(ちなみにDVDボックスも出ていて、本編の4枚に加えて特典ディスク1枚が付属)。

なお主役3人の他にも毎回、女性アイドルがゲストで出演するというのを売りにしていて、第5話の藤原ひとみは『スワンズソング』で、第6話の原史奈は先述の『グランドレス・サスピション』で、それぞれ石川佳奈と共演している。