彦によって切り刻まれた【富江】は、生首だけの姿となっても、まだ生きていた。

そんな【富江】を、登美恵は廃屋にかくまい、育てようとする。

やがて、【富江】の首からは胴体が生え、胎児くらいの大きさにまで育っていった。安藤希の整った顔立ちと、異様に小さい胴体とのアンバランスは、(表現は悪いけれども)さながら奇形児のようだ。

このシーンの特撮は、かつて『うずまき』や『首吊り気球』の実写版を担当した、小田一生が手がけている。

漫画チックにディフォルメされた造形が、ユーモラスな印象を与える。しかし、低予算丸出しの安っぽい仕上がりは、リアルさとは程遠く、素人目に見ても出来が良いとは言えない。マニアたちがこの映画の評価を下げる要因にもなっている。

ところで、これと似たものを、私は過去に観たことがある。

たしか『帝都大戦』というホラー映画で、美女の首から下が芋虫のような姿になるというシーンがあった。

しかし、『帝都大戦』の芋虫女が、とてもリアルでグロテスクな印象を与えていたのに対し、【富江】の場合は、気持ち悪いことは確かだけれど、“怖い”というよりも“不思議”というニュアンスに近い。

まるで縁日で売ってる玩具みたいに、キッチュな可愛らしさを醸し出している。

完成度の高いものだけを誉めなくてはならない、という決まりはない。チープなモノには、独特の味わいがあるのだ。また、リアルでないからこそ、作品全体に漂う“お伽話”的な雰囲気を、より効果的に演出しているとも言える。

適材適所。バカの一つ覚えみたいに、ただ金をかければいいというわけではない。物語のこぢんまりとした規模には、これくらいのチープさのほうが、かえってマッチするのだ。