★★
封印されていた吸血鬼の女王が眠りから覚め、孤島の小さな村を恐怖に陥れる。
古めかしい小屋の質感など、寂れた孤島の殺伐とした空気を演出することに成功している。終始、やるせない雰囲気の中で、気怠く展開していく物語だ。
吸血鬼の女王を演じる女優は、クールな美貌が気品を放っており、ハマり役。
しかし、なにせゾンビも“兼任”しているものだから(つまりゾンビとバンパイアで「ゾンパイア」)、セリフがまったくなく、ただ夜の村をウロウロするだけ。
登場人物の頭も悪すぎる。
村人たちが棺桶の封印を解くと、そこには当時の姿のまま朽ちることなく横たわる美しき女王。それだけでも大騒ぎになっていいはずなのに、なぜかそのままスタスタ立ち去ってしまう。
結果、女王は蘇り、何人もの犠牲者を出してしまう。一方で女王を崇拝するオカルト・マニアもいるのだが、当の女王が村を徘徊しているというのに、自分の家で祈祷を捧げてたりする。マヌケだ。
しかし、どうか我慢して最後まで観てほしい。この映画の見せ場は、終盤になってようやく訪れる。
やがて女王は、村人たちに火を放たれ、まるでショッカーの怪人みたいな奇声を上げながらのたうちまわる。
この声が、じつに気色悪いのだ。音響は恐怖演出にとって重要なファクターであり、このシーンは特筆に値するだろう。