安倍麻美『風の記憶』|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ 2ndシングル『Our Song』のカップリングDVDに収録の短編映画では、安倍麻美が一人芝居に挑戦している。 舞台となるのは、革命が勃発した世界。正規軍のメンバーである安倍は、反乱軍のリーダーと、密かに愛し合っていた。彼女は携帯電話を通し、彼に争いの愚かさを訴える。 歌手としての安倍麻美は、音程も声量も不安定で、おせじにもプロのレベルに達しているとは言い難いものの、俳優としてはひそかに期待 […]
安倍麻美『水の記憶』|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ 「モーニング娘。」の安倍なつみの妹、安倍麻美のアイドル・デビューにあたって、初期3枚のシングル初回盤にはそれぞれ麻美を主演に据えた短編映画のDVDがカップリングされていた。本作はデビュー曲『理由』の初回盤に収録。 退屈な毎日を過ごしていた女子高生が、内なる声に導かれ、この世界に生まれた喜びを知るという筋書きだ。 おのずと注目が集まるのは、安倍麻美の演技力。 これが、意外に巧いのだ。表情の作り […]
汝殺すなかれ|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ 冴えない中年サラリーマンが、ある夜、殺人事件の現場に遭遇したことから、殺し屋のチームに引き入れられる──という筋書きのクライム・アクション。 殺し屋を主人公にしておきながら、そのタイトルは『汝殺すなかれ』。洒落たネーミング・センスが目を惹いた。 主人公は、相棒の恋人に言い寄られても頑として拒むほど、まさしく絵に描いたような堅物男。 そんな彼は、もちろん犯罪のニオイとも無縁だが、意外にあっさり […]
ノストラダムス 戦慄の啓示|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ 幸福の科学が、宣伝のために作ったスペクタクル映画。 タイトルに「ノストラダムス」と冠しているけれど、実際、ノストラダムスはただ狂言回しを務めるだけで、ストーリーにはまったく絡んでこない。有名な預言詩すら出てこないのだから、まさに羊頭狗肉である。 天国での退屈な会話劇から、人間社会を舞台にした陳腐な寸劇をはさみ、ポール・シフト(地軸移動)の脅威を描くクライマックスへと突入する構成。 この映画を […]
ナチス・ゾンビ 吸血機甲師団|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ 監督は「J・A・レイザー」となっているけれど、その正体がジャン・ローランだというのは周知の通り。 当初はジェス・フランコが務める予定だったが、突如行方不明になってしまったため、ローランにお鉢が回ってきたというのも、有名な話だ。ちなみに、フランコが監督した『バージン・ゾンビ』という作品に後からゾンビの登場シーンが追加された際、その部分の監督を手がけたのもローランである。 『ナチス・ゾンビ』と『 […]
紀雄の部屋|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ プロレス・オタクの主人公【紀雄】と、“不思議ちゃん”の恋人【綾子】の同棲生活をコメディ・タッチで描く、60分弱の短編映画。 短編映画は90分前後の中篇作品とは違ったまとめ方・見せ方をしなければならないが、この映画の場合は、コントの寄せ集めといった感じでストーリーの体をなしていない。 主人公カップルを始めとして、ヘンテコなキャラクターが登場し、ただひたすらヘンテコなことをする。それ以外には何の […]
マリア様がみてる(2010年度実写映画版)|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ ゼロ年代「百合ブーム」の嚆矢となった、今野緒雪原作のライトノベル・シリーズの第1巻を実写映画化。 あらためて説明すると、「百合」とは女性同士の恋愛をテーマにしたマンガなどのフィクション作品のことで、「ガールズ・ラブ(GL)」とも呼ばれる。男性同士の恋愛を描く「ボーイズ・ラブ(BL)」と対にして用いられる言葉だが、今回の実写版『マリみて』の監督は、過去にそのものズバリ『BOYS LOVE』とい […]
音のない青空|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ 西原亜希と上野なつひのW主演で送る、フジテレビの1時間ドラマ。 西原亜希演じる女子高生は、母親の再婚のため、田舎町に越してきた。 母の婚約者の男性、そしてその一人娘である上野なつひを交えた4人で暮らすこととなる。 上野なつひは陸上部員。かつて同じ陸上部のエースだった父に憧れ、棒高跳びの記録更新を目指す。 そんな上野のひたむきな姿に惹かれ、西原も陸上部に入る。 が、飽きっぽい性格の西原は、練習 […]
ときめきメモリアル(’97年度実写映画版)|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ なんとも、もったいない作品である。 原作の美少女ゲームをプレイしたことはないけれど、単純に「青春映画」として、本作はじつによく出来ている。 嵐の中、主人公の冴えない少年(もちろん童貞である)が引き返して、バイト仲間の美少女たちと海の家を守るクライマックスには、不覚にも涙腺が緩んだ。 が、原作ユーザーの心理を勝手に代弁するかのような、ロリコン丸出しの気色悪いモノローグが、ひと夏の男女の爽快な友 […]
ゾンパイア|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ 封印されていた吸血鬼の女王が眠りから覚め、孤島の小さな村を恐怖に陥れる。 古めかしい小屋の質感など、寂れた孤島の殺伐とした空気を演出することに成功している。終始、やるせない雰囲気の中で、気怠く展開していく物語だ。 吸血鬼の女王を演じる女優は、クールな美貌が気品を放っており、ハマり役。 しかし、なにせゾンビも“兼任”しているものだから(つまりゾンビとバンパイアで「ゾンパイア」)、セリフがまった […]
囁く廊下 女校怪談|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ 一口に「ホラー映画」と言っても、単純に「ホラー(恐怖)」だけを追求している作品は、意外に少ない。 たいてい、恐怖演出はあくまでも“味付け”であって、本当のテーマは別にある。 韓流ホラー『囁く廊下』(旧題『女校怪談』)の場合、テーマは《教育の暴力》だ。 厳格な女子校で巻き起こる、謎の連続殺人。その背景には、傲慢な大人たちによって青春を奪われてしまった少女たちの、哀しみと怨念が秘められていた── […]
秘蜜の花園/ロリータ・バイブ責め|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ 陰惨かつアヴァンギャルドな作風で知られるピンク映画監督、佐藤寿保の初期代表作。 主人公は、バイブレーターでしか興奮を得られない、孤独な非行少女。 彼女と、コンテナに女を連れ込んではバイブレーターで犯した挙げ句に毒殺する、インポテンツのサディストとの歪んだ愛情を軸に、ストーリーは展開していく。 しかし実際は、変態男との交流よりも、むしろ親友の少女とのやりとりが面白い。彼女が主人公 […]