『紀雄の部屋』のDVDには、特典映像としてmeixianG(ミキサング)が歌うエンディング・テーマ『僕の部屋』のミュージック・クリップと、同曲を収録したCDが付属されている。

『紀雄の部屋』は1時間弱の短編映画だったが、ミュージック・クリップの方も約20分の短編映画として作られている(監督や脚本家のクレジットはなし)。

主演は、同映画で脇役を務めた安藤希。テレビ東京系列の深夜TVドラマ『ヴァンパイア・ホスト』で安藤と共演した小向美奈子も出演する。

ちなみに、meixianGは当時の安藤が所属していた芸能事務所「ベストブレーン」のアーティストであり、また『紀雄の部屋』の配給・宣伝も同社が手がけた。

『紀雄の部屋』とのストーリー上の関連はいっさいなく、舞台は地方の町。

ケーキ店に勤める安藤は、同僚の小向から、その日開催される花火大会のために帰郷する小向の思い人に手紙を渡すよう頼まれる。

だが、小向自身も仕事を追えた後に花火大会に向かうのだから、わざわざ安藤に手紙を託す理由がない。そもそも安藤は小向の思い人の顔を知らず、たまたま声をかけてきた彼女同伴のイケメンをその人だと早とちりして、あろうことか勝手に手紙を開封して読んでしまう。

けっきょく小向は思い人と再会でき、ハッピーエンドと相成るわけだが、こんな辻褄の合わないストーリーでは余韻もへったくれもないだろう。『紀雄の部屋』自体もいまひとつの出来だったけれど、そのオマケで付いてきた本作も頭を抱えてしまう内容である。

唯一の見所と言えば、雑貨屋の前のベンチで1時間に1本しか来ないバスを待つ間、安藤がジーンズに包まれた丸い尻をカメラに向けて寝そべるショットくらいか。