★★

幸福の科学が、宣伝のために作ったスペクタクル映画。

タイトルに「ノストラダムス」と冠しているけれど、実際、ノストラダムスはただ狂言回しを務めるだけで、ストーリーにはまったく絡んでこない。有名な預言詩すら出てこないのだから、まさに羊頭狗肉である。

天国での退屈な会話劇から、人間社会を舞台にした陳腐な寸劇をはさみ、ポール・シフト(地軸移動)の脅威を描くクライマックスへと突入する構成。

この映画を観て思ったのは、やっぱり金をかければ凄い映像が作れるんだな、という身も蓋もない事実だった(じゃあ『DEVILMAN』はなんだったんだ? ということになるが……)。

キンキラ金の豪勢な天国、かっこいい海竜【リバイアサン】、地球に覆い被らんとする巨大なデーモン、そしてポール・シフトによってもたらされる大地震と大津波――94年の制作ながら、CGのクオリティはひじょうに高く、きょうびのSFXと比較しても何の遜色もない。

ところが、人間(役者)を映すと、とたんにつまらなくなる。

演技や演出がどうのという以前に、主軸となるべきストーリー自体が意味不明で、作品の世界にのめりこめないのだ。

マイナス・エネルギーの増大によって、破滅する寸前の地球。地上に送られてきた天使たちの働きによって、なんとかプラスのエネルギーを増やすことができたかと思うと、どういうわけだか知らないけれどいきなりポール・シフトの危機がやってくる。それでも善なる人々の祈りによって、いったんは回避されたかのように見えたのも束の間、某国が核ミサイルを発射したせいでマイナスのエネルギーが増加――

けっきょくポール・シフトは起こり、地球は壊滅してしまうのだ!

マジかよ、これじゃ祈っても何にもならないじゃん、ということになる。宗教の宣伝映画としては、明らかに破綻している。

とはいえ、CGの迫力は本当に凄いので、意外なくらい、観ていて飽きない。とくにファンタジー物が好きな人なら、途中のくだらない寸劇を早送りですっ飛ばしてでも一見の価値はあるだろう。