★★

ある平凡な男が、美しい吸血鬼の姉妹に魅了され、やがて自らも吸血鬼と化してしまうという、ホラー仕立てのピンク映画。

主人公は、自宅の向かいにあるロフトに姉妹が引っ越してきたことから、彼女たちと知り合うことになる。

生活臭の感じられない、ロフトの無機的な質感。SEXをあえて直接撮らず、近くに置いてあるサングラスに映った姿のほうを撮るといった、凝ったカメラ・ワーク。吸血鬼というオドロオドロしい題材を扱っていながら、作品全体を通してモダンかつ都会的な印象を与える作品だ。

また、伝承によると、吸血鬼は日の光を浴びたら死んでしまうことになっているが、彼女たちはサングラスに黒いコートを着てこそいるものの、日中でも普通に外を歩いているというのが面白い。ジェス・フランコ監督のシュールな吸血鬼映画を意識しているのかもしれない。

そう言えば『ヴァンピロス・レスボス』をイメージしたのか、吸血鬼姉妹が互いの肉体を求め合うシーンも用意されている。

だが、ポルノだから仕方がないとは言え、濡れ場以外の役者の演技が、あまりにも素人臭い。女吸血鬼の姉妹にしても、貧弱な発声とたどたどしい棒読み台詞のせいで、神秘的な雰囲気がまったく感じられないのだ。

加えて、ベテラン・ポルノ男優の佐野和宏も、汚いおっさんを演じさせたらなかなかいい味を出す人なのだが、刑事のような威厳のある役柄にはまったく向かない。

また、徐々に吸血鬼と化していく主人公は、込み上げてくる衝動を抑えられず、手当たり次第にSEXしまくるのだが、行きずりのオッサンとまでやってしまうのは、いくらなんでもやりすぎだ。それまではノンケだったにも関わらず、吸血鬼となり、性欲が高まった結果としてバイセクシュアルになるという観念的な人物造形は、じつのところバイセクシュアルに対する偏見を露呈している。

その証拠として、男女および女同士のカラミはじつに官能的に描く一方、男同士のSEXの表現はいかにも露悪的で、美しく魅せようという意思がまるで感じられない。むしろ“ネタ”として扱っている節すらうかがえるけれど、作品のスタイリッシュなムードとの乖離が著しく、なんだか別の映画のシーンが紛れ込んでしまったような違和感を覚えた。

おまけに、ラストを主人公と佐野和宏のベロチューで締めるなんて……あんまりだ!