Posts tagged "邦画"

秘蜜の花園/ロリータ・バイブ責め|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★   陰惨かつアヴァンギャルドな作風で知られるピンク映画監督、佐藤寿保の初期代表作。 主人公は、バイブレーターでしか興奮を得られない、孤独な非行少女。 彼女と、コンテナに女を連れ込んではバイブレーターで犯した挙げ句に毒殺する、インポテンツのサディストとの歪んだ愛情を軸に、ストーリーは展開していく。 しかし実際は、変態男との交流よりも、むしろ親友の少女とのやりとりが面白い。彼女が主人公 […]

花とアリス|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★   とにかく、ムダの多い映画。要領のいい監督が撮れば90分以内にまとまりそうな話を、なんと2時間以上もかけてダラダラやっている。 思いついたアイディアに愛着があるのはわかるけれど、それらを吟味せずに全部ぶちこんだものだがら、ストーリーの流れが冗漫きわまりない。 たとえば、【徹子】が離婚した父親と会うエピソードなんて、明らかに蛇足だ。【雅志】とのデートの後でトコロテンを食べるシーンの […]

少女地獄1999|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 救いもユーモアもなく、ひたすら無残(あらゆる意味で)な映像を垂れ流す作品。これに較べたら、いかに『オールナイトロング』シリーズがまっとうな「映画」であるかがよくわかる。なお夢野久作の小説『少女地獄』とは無関係。 主人公は、不幸な女子高生(というわりには年増ですが)。 母親は、いない。夫の暴力に耐えかね、二人の娘を残して蒸発してしまったからだ。 姉は交通事故に遭い、二目と見られぬ姿となったうえ、 […]

すべては夜から生まれる|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 売れない役者をやっている主人公は、ある日、喫茶店で画家の男と知り合う。 なりゆきから、画家の住むアパートに一泊することになった主人公は、そのとき、画家の恋人と出会った。 客が来ていることを知らない彼女は、全裸で部屋に入ってきたのだが、主人公はその美しい体に心惹かれる。 ある夜、主人公は例の喫茶店で、画家の恋人と再会する。 画家は創作に没頭するあまり、いつも彼女をアパートから追い出してしまうのだ […]

彗星まち/獣たちの性宴 イクときいっしょ|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★★ 河原に捨てられた死体や焼身自殺といったショッキングなシーン、全編に漂うダウナーな雰囲気など、岡崎京子の『リバーズ・エッジ』と多くの接点を持つことで知られるピンク映画。「ピンク映画七福神」の一人、今岡信治のデビュー作でもある。 が、『リバーズ・エッジ』のような瑞々しさや緊張感はまるでない。とにかく、登場人物が揃いも揃って貧乏臭いのである。ヒロインがワキガの映画なんて観たことありますか? また […]

堀北真希×黒木メイサ『きみのゆびさき』|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★★★ 2006年から2007年にかけて、堀北真希と黒木メイサをフィーチャーした作品が複数の媒体で制作・発表された。共に同い年で、同じ芸能プロダクション(スウィートパワー)に所属する二人だが、清純派の堀北にセクシー系の黒木という正反対のキャラクターがもたらすコントラストがセールス・ポイントとなっていた。 2007年4月に発売されたDVD『きみのゆびさき』は、『tokyo.sora』『好きだ、』で […]

自殺サークル|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 冒頭、新宿駅のホーム。何十人もの女子高生が、手をつないでいっせいに飛び込み自殺する。飛び散る大量の血しぶき、肉片。 このナンセンスな演出が、『自殺サークル』という映画を象徴している。とにかく、ただひたすら観客を不快な気分にさせるという目的のために、すべてが注ぎこまれた映画だ。 加えて作品全体から感じられるのは、若者文化、とりわけ90年代後半以降のトレンドに対する、強烈な憎悪である(そうでないと […]

NUMANITE/ダニエルとミランダ|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★★★ アップリンクから発売されている手塚眞監督『実験映画』のDVDには、映像特典として監督が過去に手がけた短編映画が収められていた。『NUMANITE』はその中の一つ。 沼の底で暮らす、信心深い【ダニエル】と奔放な【ミランダ】の姉妹が、一人の男と三角関係に陥るという、「大人の童話」仕立ての物語である。 冒頭、重厚な沼の映像に、落ち着いた男の声でナレーションが被さる。環境ビデオを観ている気分にな […]

実験映画|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 自称「ビジュアリスト」、手塚眞の短編映画。 同年に発表した『白痴』同様、ヒロインを橋本麗香が演じる。対する主人公は、永瀬正敏。ちなみに、『白痴』で主演した浅野忠信とは、この当時、何かにつけて引き合いに出して語られ、二人まとめて「雰囲気俳優」と呼ばれていた記憶がある。 主人公はカメラマン。ある日、彼の元に映画制作の依頼が舞い込む。 一週間の期日で、朽ち果てた洋館を舞台に、一人の少女をモデルにした […]

邪願霊|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 今や『ノロイ』などですっかり定番となった、擬似ドキュメンタリー形式による和製ホラー映画の元祖とも言える作品。 『ノロイ』に登場する魔物【かぐたば】は、取り憑いた人間の精神をじわりじわりと崩壊させていくタイプだったが、この映画の幽霊は、車を爆発させたり、撮影のセットをメチャクチャにしたりと大暴れだ。 しかし、そんな派手な演出の割には、復讐の動機がたんなる「痴情のもつれ」というのは、あんまりにも貧 […]

いさなのうみ|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ いや、ホントわけわからんのよ、この映画。 監督が『いさなのうみ』を通して何を表現したいのか。観客にどんな印象を抱かせたいのか。それがさっぱり見えてこないから、観ている方は終始チンプンカンプンなのだ。 転校生に姿を変え、主人公に言い寄る【鯨の精(?)】は、いったい何が言いたかったんだろう。 《人間が魚を適度に捕ることによって生態系が保たれる》なんてのは、漁業学校の生徒なら授業で習うことで、わざわ […]

一世風靡SEPIA『現在(いま)が好きです』|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★★★★ 《和》のイメージを強く打ち出し、熱き漢の生きる道を体現した異色ダンス・グループ「一世風靡SEPIA」が主演する短編映画。 「ソイヤソイヤ」という奇怪な掛け声が耳を突く、代表曲『前略、道の上より』と、そのシングル盤のB面に収録された、これまた男臭いスポークン・ワード『セピアカラー』を軸に、スラップスティックな群衆劇を繰り広げている。 一世風靡SEPIAが解散し、メンバーはそれぞれ別の人生 […]