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テック&サーチ・リミテッド|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ このインディーズ映画の主演を務めた石川佳奈は、ついぞ一般的な知名度を得ることはできなかったものの、独特な存在感のある女優で、個人的に一目置いていた。元々はグラビア・アイドルで、ブライダル・モデルとしても活動していたようだけれど、今となってはどこで何をしているのか。 石川はファンタジックなTVドラマ『LAST ALIVE』、スプラッター映画『スワンズソング』など、これまで出演してきた作品では、お […]

知りすぎた少女|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 何年も前に起こったはずの殺人事件が、突如として、主人公の周りで再現される。私の記憶はどうなってしまったの?―― イタリアン・ホラーの巨匠マリオ・バーバらしからぬ、陳腐な心理サスペンス。おまけに、すべての謎は、ストーリーの冒頭で主人公がもらった、マリファナ煙草によってもたらされた幻覚かもしれない……という「夢オチもどき」である。 話にならんわ。 そもそも主人公、「少女」と呼ぶには老けすぎだし。こ […]

囁く廊下 女校怪談|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★ 一口に「ホラー映画」と言っても、単純に「ホラー(恐怖)」だけを追求している作品は、意外に少ない。 たいてい、恐怖演出はあくまでも“味付け”であって、本当のテーマは別にある。 韓流ホラー『囁く廊下』(旧題『女校怪談』)の場合、テーマは《教育の暴力》だ。 厳格な女子校で巻き起こる、謎の連続殺人。その背景には、傲慢な大人たちによって青春を奪われてしまった少女たちの、哀しみと怨念が秘められていた── […]

新・妖女伝説 セイレーン|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 《男の欲望》を喰って生きる女妖魔【セイレーン】の恐怖をエロティックに描く。90年代から続くVシネマ・シリーズの通算第5作、00年代に入ってから最初の作品である。 エロスと怪奇の組み合わせと言えば、即座に思い浮かぶのはジェス・フランコやジャン・ローランの女吸血鬼物で、ああいった耽美幻想的なムードを期待してしまう。 ところが本作の世界観は、むしろその対極にある。 メインとなるのは、ギャングたちのお […]

精霊のささやき|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ パッケージの宣伝文によると、監督の植岡喜晴は《幻想映画だけを撮り続けて来た映像作家》で、この『精霊のささやき』は、彼にとって《初の劇場用作品》なのだそうな。 そんな奇特な人がいることも知らなかったし、そんな映画があることも知らなかった。 近所の古いレンタル・ビデオ屋ではじめて目にしたのである。昨今の、即物的なスプラッター・ホラーやゾンビ物ばかりがもてはやされる風潮に、すっかり嫌気がさしていた私 […]

押切 劇場版|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ パラレル・ワールドを題材にしたSFホラーで、いちおう伊藤潤二の漫画を原作としている。読んでいないので比較できないが、少なくともこの映画版に『富江』や『うずまき』のような猟奇色はない。 一つ言えるのは、もし伊藤潤二原作という前提がなければ、こんなに古臭くて退屈な作品が世に出ることはなかっただろう、ということである。 「押切」とは、主人公の高校生の名字。もう一つの世界に住む自分が、この世界にやって […]

オルガン|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 日本のアングラ劇団「オルガンヴィトー」が自主制作したスプラッター映画。 ここでの「オルガン」とは楽器のことではなく《臓器》を意味する(ついでに「オルガンヴィトー」で《五臓六腑》となる)。 《人体破壊》をテーマにした、陰惨で救いのない物語だ。 臓器売買の現場に潜入した刑事が、犯罪グループに拉致監禁された。 主人公はその拉致された刑事の上司で、刑事の兄とともに犯罪グループを追いつめていくという、サ […]

下弦の月|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 矢沢あいの原作コミックにもL’Arc〜en〜Cielにもまったく思い入れのない私が、映画版『下弦(かげん)の月』をわざわざ劇場まで観に行ったのは、邦画にしては珍しく、耽美幻想的なビジュアルを売りにしていたからだ。ゴス・ファッションに身を包んだ栗山千明を一目見たかったというのもある。 が、その期待は、もろくも打ち砕かれた。余韻に浸りながら帰りたいと思ったため、わざわざ夜の回を選んで観 […]

玩具修理者|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★★ 小林泰三の原作小説から、猟奇的な描写の一切を削除し、幻想的なお伽話に仕上げた短編映画。 言うまでもなく、映像化作品を語る際には、原作とは「別物」として評価すべきである。原作にあったものが「ない」としても、作品として完成しているのであれば、それは「不足」にはならない。ましてや約45分という時間の制約があるのだから、原作の内容を余さず再現しようとすれば、消化不良になってしまいかねない。したがっ […]

秘蜜の花園/ロリータ・バイブ責め|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★   陰惨かつアヴァンギャルドな作風で知られるピンク映画監督、佐藤寿保の初期代表作。 主人公は、バイブレーターでしか興奮を得られない、孤独な非行少女。 彼女と、コンテナに女を連れ込んではバイブレーターで犯した挙げ句に毒殺する、インポテンツのサディストとの歪んだ愛情を軸に、ストーリーは展開していく。 しかし実際は、変態男との交流よりも、むしろ親友の少女とのやりとりが面白い。彼女が主人公 […]

花とアリス|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★   とにかく、ムダの多い映画。要領のいい監督が撮れば90分以内にまとまりそうな話を、なんと2時間以上もかけてダラダラやっている。 思いついたアイディアに愛着があるのはわかるけれど、それらを吟味せずに全部ぶちこんだものだがら、ストーリーの流れが冗漫きわまりない。 たとえば、【徹子】が離婚した父親と会うエピソードなんて、明らかに蛇足だ。【雅志】とのデートの後でトコロテンを食べるシーンの […]

白昼の幻想|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 興味本位に手を出したLSDによって、現実と幻覚の狭間に陥ってしまった、ある若い映画監督の一夜を描く。 読んで字のとおり「映画」とは映像表現に特化したメディアである。よって通常、本作のような内容の作品は、「幻覚」の描写に注力することになる。 ところが監督のロジャー・コーマンは、何を考えたのか、「現実」の描写に重点を置いてしまった。ラリった主人公が夜の町をフラフラと彷徨うさまを、ただダラダラと撮っ […]