藪の中|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★ 黒沢映画の原作としても有名な芥川龍之介『藪の中』は、人間の記憶や主観が、いかに都合良く捻じ曲げられるかを物語る古典文学である。 とはいえ、けっきょくのところ読者の記憶にもっとも印象強く残るのは、《愛する妻を目の前でレイプされる》という、悲惨きわまりないシチュエーションではないだろうか。 だとしたら『藪の中』を「ポルノ小説」として解釈したとしてもおかしくはない。おそらくこの映画版はそんな発想から […]
新・妖女伝説 セイレーン|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★ 《男の欲望》を喰って生きる女妖魔【セイレーン】の恐怖をエロティックに描く。90年代から続くVシネマ・シリーズの通算第5作、00年代に入ってから最初の作品である。 エロスと怪奇の組み合わせと言えば、即座に思い浮かぶのはジェス・フランコやジャン・ローランの女吸血鬼物で、ああいった耽美幻想的なムードを期待してしまう。 ところが本作の世界観は、むしろその対極にある。 メインとなるのは、ギャングたちのお […]
秘蜜の花園/ロリータ・バイブ責め|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ 陰惨かつアヴァンギャルドな作風で知られるピンク映画監督、佐藤寿保の初期代表作。 主人公は、バイブレーターでしか興奮を得られない、孤独な非行少女。 彼女と、コンテナに女を連れ込んではバイブレーターで犯した挙げ句に毒殺する、インポテンツのサディストとの歪んだ愛情を軸に、ストーリーは展開していく。 しかし実際は、変態男との交流よりも、むしろ親友の少女とのやりとりが面白い。彼女が主人公 […]
少女地獄1999|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★ 救いもユーモアもなく、ひたすら無残(あらゆる意味で)な映像を垂れ流す作品。これに較べたら、いかに『オールナイトロング』シリーズがまっとうな「映画」であるかがよくわかる。なお夢野久作の小説『少女地獄』とは無関係。 主人公は、不幸な女子高生(というわりには年増ですが)。 母親は、いない。夫の暴力に耐えかね、二人の娘を残して蒸発してしまったからだ。 姉は交通事故に遭い、二目と見られぬ姿となったうえ、 […]
彗星まち/獣たちの性宴 イクときいっしょ|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★★ 河原に捨てられた死体や焼身自殺といったショッキングなシーン、全編に漂うダウナーな雰囲気など、岡崎京子の『リバーズ・エッジ』と多くの接点を持つことで知られるピンク映画。「ピンク映画七福神」の一人、今岡信治のデビュー作でもある。 が、『リバーズ・エッジ』のような瑞々しさや緊張感はまるでない。とにかく、登場人物が揃いも揃って貧乏臭いのである。ヒロインがワキガの映画なんて観たことありますか? また […]
背徳の館 姉妹いじり|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)
★★ ある平凡な男が、美しい吸血鬼の姉妹に魅了され、やがて自らも吸血鬼と化してしまうという、ホラー仕立てのピンク映画。 主人公は、自宅の向かいにあるロフトに姉妹が引っ越してきたことから、彼女たちと知り合うことになる。 生活臭の感じられない、ロフトの無機的な質感。SEXをあえて直接撮らず、近くに置いてあるサングラスに映った姿のほうを撮るといった、凝ったカメラ・ワーク。吸血鬼というオドロオドロしい題材 […]