Posts tagged "ホラー"

邪願霊|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 今や『ノロイ』などですっかり定番となった、擬似ドキュメンタリー形式による和製ホラー映画の元祖とも言える作品。 『ノロイ』に登場する魔物【かぐたば】は、取り憑いた人間の精神をじわりじわりと崩壊させていくタイプだったが、この映画の幽霊は、車を爆発させたり、撮影のセットをメチャクチャにしたりと大暴れだ。 しかし、そんな派手な演出の割には、復讐の動機がたんなる「痴情のもつれ」というのは、あんまりにも貧 […]

イザベルの呪い|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 魔女狩り伝説をモチーフに、エログロ描写を加えたB級ホラー。そう聞いただけで食指が動いてしまうマニアは少なくないはず。 じじつ魔女の処刑や黒魔術のシーンはムードたっぷりで、安っぽい仕上がりながら、なかなかの出来映えだ。 しかし、キャラクターの設定があまりにもデタラメである。 300年前、神父の妻でありながら、下男と不義密通したことにより、「魔女」として火炙りにされた女。下男は彼女を蘇らせるため、 […]

生魂(いきすだま)|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ ささやななえこ原作の怪奇漫画の映画化。「ドギー・バッグ」なる男子アイドル・コンビをフィーチャーしている。 だが、和製ホラー映画ファンにとっての見所は、なんといっても三輪姉妹の登場だろう。2話構成となっており、第1話『生霊』には姉のひとみが生霊役で、第2話『空ほ石の』には妹の明日美がヒロイン役で登場する。 しかし、メインはあくまでもドギー・バッグ。彼らの歌が劇中で挿入され、アイドル映画のような作 […]

蛇女 ZOMBIE SNAKE|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 木漏れ日の差す路地裏で、ランドセルを背負った小学生が、幽霊のような女と見つめ合っている。 ──『蛇女』は、こんな謎めいた光景で始まり、そして終わる。 この物語は、彷徨う女の亡霊に、運悪く捉えられてしまった少年が見せられた白昼夢なのだ。 「蛇女」というタイトルから、おのずと日本古来の怪談を連想する。げんに、アパートや研究室など、この物語の主要な舞台となる場所は、どこもかしこも薄暗く、古めかしい。 […]

ゴーストシステム|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★★ 人間は、死んだらどうなるのか。死後の世界は、実在するのか。 ――この問いかけは、恐怖を掻き立てると同時に、どこかロマンチックな響きを帯びている。青臭いとはわかっていても、つい惹きつけられてしまうテーマの一つであり、ホラー映画を生み出す原動力となる。 その答えを実証するために開発されたのが「ゴーストシステム」。霊に実体を与え、現世に甦らせる装置である。 物語は、主人公の女子高生の親友である少 […]

ジョン・ゲイシー|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★ 実在するシリアル・キラー(連続殺人犯)たちの生き様を映画化したシリーズ「シリアル・キラーズ」の中の一つ。 本作はジョン・ゲイシーにスポットを当てている。地元の名士として信頼を集める一方で、33人もの青少年をレイプしたあげくに殺し、その死体を自宅の軒下に隠していたという人物である。 ゲイシーと言えば、子供たちのパーティーにピエロの格好で登場していたときの写真が印象的だ。ずんぐりと太った体型を陽 […]

不思議体験ゾーン|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 大手チェーン店ではなく、その店独自の価値判断で商品をセレクトしていた、個人経営のレンタルビデオ屋を町中でめっきり見かけなくなって久しい。 今みたいにホラー映画が市民権を得る以前、一部の物好きな暇人たちを相手に作られてきた、有象無象の作品。そういうものを掘り出すことに、私は楽しみを見出していた。 作品の出来は、とくに期待しない。ただ、そこにどんな映像が収められているのかを、確認せずにはいられなか […]

FROM HELL IT CAME|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ MISFITSを例にとるまでもなく、パンク・ロックのバンドは時折、B級ホラー映画のタイトルから曲名を取ったり、またその1シーンをアルバムのジャケットやフライヤーのデザインにしたりする。B級ホラー特有の胡散臭さ、下劣な表現、チープな味わいは、たしかにパンク・ロックと通じるものがある。 私が、この『FROM HELL IT CAME』という、まっとうな映画ファンの間ではまず話題に上らないような作品 […]

吸血処女イレーナ 鮮血のエクスタシー|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★★ 霧の立ち込める森の彼方から、素肌に黒いマントとベルト、ロング・ブーツを身に着けただけの美女が、まっすぐに歩み寄ってくる――。 豊かな黒髪にグラマーな肢体、濃厚なアンダーヘア、そしてアンニュイな表情が色気を醸し出すこの女性こそ、本作のヒロインである女吸血鬼【イレーナ】だ。 『ヴァンピロス・レスボス』と対にして語られる、ジェス・フランコ監督の女吸血鬼映画。『ヴァンピロス・レスボス』でタイトルど […]

ファウスト|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★ モノクロの無声映画、と言うと取っ付きにくい印象があるけれど、こと怪奇映画というジャンルにおいては有利な面もある。 ドイツ表現主義の最高峰、映画史上に残る名作であると同時に、怪奇映画の古典でもある『ファウスト』。 CGなどなかった1926年の作品なので全て手作りのセットと合成映像で撮られているのだが、影と煙を多用した重厚かつミステリアスな演出は、まさに白と黒のシンプルな色彩世界でこそ引き立つも […]

エコエコアザラク R-page/B-page|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★★★ 古賀新一の古典ホラー漫画を実写映画化したシリーズの2006年度版は、前編の『R-page』と後編の『B-page』の2部構成となった。 ストーリーが繋がっているため2作品まとめてレビューする。 今回、 主人公の女子高生黒魔術師【黒井ミサ】に扮したのはグラビア・アイドルの近野成美。 妙に渋い声を出すヴィジュアル系シンガーのIZAMがそのリーダーを演じる黒魔術団の一員として、【ミサ】は現代の日 […]

エコエコアザラク(’01年度実写映画版)|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 黒魔術師の女子高生【黒井ミサ】の姿を描く、古賀新一原作のホラー漫画の実写化作品。 実写版『エコエコアザラク』には、テレビ版と劇場版とがある。劇場版の1作目と2作目は、吉野公佳を主演に据えていたが、3作目は、テレビ版の主演である佐伯日菜子を起用した。 そして4作目にあたる本作では、主演を加藤夏希に替え、まったく新しい世界観で作り直されている。 さて、本作を「ホラー映画」とカテゴライズすることには […]