Posts tagged "1star"

自殺サークル|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 冒頭、新宿駅のホーム。何十人もの女子高生が、手をつないでいっせいに飛び込み自殺する。飛び散る大量の血しぶき、肉片。 このナンセンスな演出が、『自殺サークル』という映画を象徴している。とにかく、ただひたすら観客を不快な気分にさせるという目的のために、すべてが注ぎこまれた映画だ。 加えて作品全体から感じられるのは、若者文化、とりわけ90年代後半以降のトレンドに対する、強烈な憎悪である(そうでないと […]

実験映画|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 自称「ビジュアリスト」、手塚眞の短編映画。 同年に発表した『白痴』同様、ヒロインを橋本麗香が演じる。対する主人公は、永瀬正敏。ちなみに、『白痴』で主演した浅野忠信とは、この当時、何かにつけて引き合いに出して語られ、二人まとめて「雰囲気俳優」と呼ばれていた記憶がある。 主人公はカメラマン。ある日、彼の元に映画制作の依頼が舞い込む。 一週間の期日で、朽ち果てた洋館を舞台に、一人の少女をモデルにした […]

邪願霊|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 今や『ノロイ』などですっかり定番となった、擬似ドキュメンタリー形式による和製ホラー映画の元祖とも言える作品。 『ノロイ』に登場する魔物【かぐたば】は、取り憑いた人間の精神をじわりじわりと崩壊させていくタイプだったが、この映画の幽霊は、車を爆発させたり、撮影のセットをメチャクチャにしたりと大暴れだ。 しかし、そんな派手な演出の割には、復讐の動機がたんなる「痴情のもつれ」というのは、あんまりにも貧 […]

いさなのうみ|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ いや、ホントわけわからんのよ、この映画。 監督が『いさなのうみ』を通して何を表現したいのか。観客にどんな印象を抱かせたいのか。それがさっぱり見えてこないから、観ている方は終始チンプンカンプンなのだ。 転校生に姿を変え、主人公に言い寄る【鯨の精(?)】は、いったい何が言いたかったんだろう。 《人間が魚を適度に捕ることによって生態系が保たれる》なんてのは、漁業学校の生徒なら授業で習うことで、わざわ […]

イザベルの呪い|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 魔女狩り伝説をモチーフに、エログロ描写を加えたB級ホラー。そう聞いただけで食指が動いてしまうマニアは少なくないはず。 じじつ魔女の処刑や黒魔術のシーンはムードたっぷりで、安っぽい仕上がりながら、なかなかの出来映えだ。 しかし、キャラクターの設定があまりにもデタラメである。 300年前、神父の妻でありながら、下男と不義密通したことにより、「魔女」として火炙りにされた女。下男は彼女を蘇らせるため、 […]

生魂(いきすだま)|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ ささやななえこ原作の怪奇漫画の映画化。「ドギー・バッグ」なる男子アイドル・コンビをフィーチャーしている。 だが、和製ホラー映画ファンにとっての見所は、なんといっても三輪姉妹の登場だろう。2話構成となっており、第1話『生霊』には姉のひとみが生霊役で、第2話『空ほ石の』には妹の明日美がヒロイン役で登場する。 しかし、メインはあくまでもドギー・バッグ。彼らの歌が劇中で挿入され、アイドル映画のような作 […]

ヒストリー・オブ・グラマー|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 田舎育ちの【チャールズ・バレンタイン】という女の子が、都会に出てロック・スターとして成功し、やがて引退するまでを描いた、米国製のアニメーション作品。 日本では、アップリンクがソフトを販売している。 ここではないどこか、これではない何か。今の私じゃない、もっと私らしい場所、私らしい出来事がきっとあるはず。そんなことがマッチ1本程のほんのささい な事から始まるとしたら・・・。 このような胸躍る宣伝 […]

蛇女 ZOMBIE SNAKE|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 木漏れ日の差す路地裏で、ランドセルを背負った小学生が、幽霊のような女と見つめ合っている。 ──『蛇女』は、こんな謎めいた光景で始まり、そして終わる。 この物語は、彷徨う女の亡霊に、運悪く捉えられてしまった少年が見せられた白昼夢なのだ。 「蛇女」というタイトルから、おのずと日本古来の怪談を連想する。げんに、アパートや研究室など、この物語の主要な舞台となる場所は、どこもかしこも薄暗く、古めかしい。 […]

ゲイザー ディレクターズ・カット版|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 吹石一恵と須藤温子のW主演に加え、『ねらわれた学園(97年度劇場版)』の清水厚と、『エコエコアザラクⅢ』の上野勝仁のW監督で制作された、SFアクション・ホラー。 テレビ朝日の『ウィークエンドドラマ』という番組で、6回に亘って放送されたドラマを、一本の作品として再構成している。結果、2時間越えという長丁場になったが、テンポ良く進んでいくので、観ていて飽きない。 しかし、作品全体の出来は粗い。 吹 […]

不思議体験ゾーン|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 大手チェーン店ではなく、その店独自の価値判断で商品をセレクトしていた、個人経営のレンタルビデオ屋を町中でめっきり見かけなくなって久しい。 今みたいにホラー映画が市民権を得る以前、一部の物好きな暇人たちを相手に作られてきた、有象無象の作品。そういうものを掘り出すことに、私は楽しみを見出していた。 作品の出来は、とくに期待しない。ただ、そこにどんな映像が収められているのかを、確認せずにはいられなか […]

FROM HELL IT CAME|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ MISFITSを例にとるまでもなく、パンク・ロックのバンドは時折、B級ホラー映画のタイトルから曲名を取ったり、またその1シーンをアルバムのジャケットやフライヤーのデザインにしたりする。B級ホラー特有の胡散臭さ、下劣な表現、チープな味わいは、たしかにパンク・ロックと通じるものがある。 私が、この『FROM HELL IT CAME』という、まっとうな映画ファンの間ではまず話題に上らないような作品 […]

エコエコアザラク(’01年度実写映画版)|評論家を燃やせ!(いいニオイさ)

★ 黒魔術師の女子高生【黒井ミサ】の姿を描く、古賀新一原作のホラー漫画の実写化作品。 実写版『エコエコアザラク』には、テレビ版と劇場版とがある。劇場版の1作目と2作目は、吉野公佳を主演に据えていたが、3作目は、テレビ版の主演である佐伯日菜子を起用した。 そして4作目にあたる本作では、主演を加藤夏希に替え、まったく新しい世界観で作り直されている。 さて、本作を「ホラー映画」とカテゴライズすることには […]